インクラインベンチプレスの角度は30度?45度?大胸筋上部を狙うフォームと重量

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  • パーソナルトレーニング

2026.02.09

インクラインベンチプレスの角度は30度?45度?大胸筋上部を狙うフォームと重量

インクラインベンチプレスで大胸筋上部を鍛える方法

「インクラインをやると、胸よりも肩が疲れてしまう」

そんな悩みを抱えている方は少なくありません。大胸筋を立体的に、そして逞しく見せるためには鎖骨から伸びる上部繊維のボリュームが不可欠ですが、ここは通常のベンチプレスでは非常に刺激が入りにくい部位でもあります。

本記事では、整骨院でトレーニング指導を行うトレーナーが、解剖学的な視点から「なぜ胸の上部は盛り上がらないのか」を紐解き、確実に効かせるための角度とフォームの真実を解説します。

代表 横田就馬

監修・執筆者

ADVANCE世田谷鍼灸整骨院
代表 横田就馬(柔道整復師)

インクラインベンチプレスとは?ベンチプレスとの違いと大胸筋上部の効果

インクラインベンチプレスとは、ベンチに角度をつけて(頭側を高くして)行うベンチプレスのことです。

フラットな高さで行う通常のベンチプレスは「大胸筋中部・下部」に負荷が集中しやすく、重い重量を扱える反面、鎖骨周辺のボリュームを作るには不十分な場合が多いのです。

なぜ鎖骨の下が盛り上がらないのか?解剖学的な理由

鎖骨の下(大胸筋上部)が発達しにくいのは、筋肉の繊維が走っている方向に理由があります。

大胸筋上部が発達しない3つの原因

1. 筋繊維の走行方向(斜め上)

大胸筋の中部は横方向に走っていますが、上部(鎖骨部)は腕から鎖骨に向かって斜めに走っています。フラットベンチではこの斜めのラインに負荷が乗らないため、刺激が逃げてしまいます。

2. 肩の筋肉(三角筋)による代償

上部を狙おうとして角度をつけすぎると、今度は三角筋前部ばかりが働き、胸に刺激が届きません。

3.結論

身体を斜め(インクライン)に傾けることで、初めてバーベルの重力方向と上部繊維の走行が一致し、ダイレクトに効かせることが可能になります。

インクラインベンチプレスで鍛えられる部位とメリット

インクラインベンチプレスを取り入れることで、単に胸を厚くするだけでなく、上半身全体のシルエットを劇的に改善できます。

鍛えられる部位 得られる効果
大胸筋上部(鎖骨部) 胸板の高さが出て、服の上からでも輪郭が見える。
三角筋前部(肩) 肩のラインが強調され、逆三角形のシルエットを作る。
上腕三頭筋(二の腕) プレス動作をサポートし、腕の太さにも貢献する。

プロのアドバイス:立体的ボディへの近道

フラットベンチばかりやっていると、大胸筋の下側だけが発達し、垂れたような胸に見えてしまうことがあります。上に高く盛るインクラインを週のメニューに組み込むことこそが、張りのある胸板を作る最短ルートです。

インクラインベンチプレスの最適な角度は?解剖学で見る正解

ジムのインクラインベンチを見渡すと、人によって設定角度はバラバラです。「何度が正解なのか?」という問いへの答えは、あなたの「肩関節の柔軟性」と「鎖骨の形状」に隠されています。

角度が浅すぎればフラットベンチと変わらず、深すぎればただのショルダープレスになってしまいます。上部を「狙い撃ち」するための黄金比を見ていきましょう。

大胸筋上部に一番効くのは「30度〜45度」の根拠

多くのスポーツ科学の研究では、大胸筋上部の筋活動が最も高まるのは30度から45度の間であると示されています。しかし、整骨院の現場で多くのトレーニーを診てきた私たちの結論は、少し異なります。

角度による負荷の変化

1. 30度:大胸筋上部の「黄金角度」

肩(三角筋)への負荷分散を最小限に抑えつつ、大胸筋上部に最も重みが乗りやすい角度です。「胸で押している感覚」が最も掴みやすいため、初心者から上級者まで第一選択にすべき設定です。

2. 45度:鎖骨のラインを際立たせる

より鎖骨に近い最上部を狙えますが、同時に肩への負担も急増します。肩関節が硬い人が45度で行うと、胸が動く前に肩甲骨が浮いてしまい、刺激が肩に逃げやすくなります。

3.アドバイス:

迷ったら「30度」から始めましょう。30度でしっかり胸に効かせられるようになってから、バリエーションとして45度を取り入れるのが安全です。

60度以上のハイインクラインは間違い?目的別の使い分け

一般的に60度以上の急斜面は胸から刺激が逃げますが、これはあくまで大胸筋上部だけを狙う場合の話。実は「ハイインクライン」には、忙しいビジネスマンにこそ嬉しいメリットが隠されています。

ハイインクラインが「正解」になる活用シーン

1. 肩と胸上部の「同時強化」で時短トレ

肩(三角筋前部)と大胸筋上部を一度に高強度で追い込めるため、出社前の限られた隙間時間で上半身のボリュームを最大化したい場合には、非常にタイパ(タイムパフォーマンス)の良い種目になります。

2. 低重量・高回数でのパンプアップ

あえて重量を落とし、高回数で追い込むことで、関節への負担を抑えつつ上半身全体に血液を送り込むことができます。トレーニングの最後に「仕上げ」として取り入れるのも賢い選択です。

ハイインクラインで行う際の注意点

腰の反りに注意:上体が起きる分、重さに負けると腰を反らせてフラットな角度に逃げようとしてしまいます。これが腰痛の元。低重量でも腹圧をしっかりかけ、お尻を浮かさないことが絶対条件です。

目的の明確化:「今日は胸を盛りたいのか」「それとも上半身全体をクイックに鍛えたいのか」この目的さえブレなければ、60度設定は決して間違いではありません。

プロの視点:出社前のモーニング・インクライン

三軒茶屋周辺のジムで早朝トレーニングをされている方には、あえてハイインクラインをお勧めすることもあります。「短時間で肩の厚みと胸の張りを同時に作る」ことで、スーツのシルエットが変わるからです。大切なのは角度の数字ではなく、その角度で何を狙っているかという意識です。

インクラインベンチプレスの正しいフォームと手幅・下ろす位置

インクラインベンチプレスは、通常のベンチプレスよりも肩関節へのストレスがかかりやすい種目です。そのため、バーを下ろす位置や手幅の「数センチのズレ」が、効果の有無だけでなく怪我の分かれ目になります。

バーベルを下ろす位置は「鎖骨と乳首の中間」

フラットベンチではみぞおち付近に下ろすのが基本ですが、インクラインではより顔に近い位置、具体的には「鎖骨と乳首の中間あたり」を狙って下ろします。

肩を守り上部に効かせる「脇の角度」

1. 脇を90度まで開かない

脇を完全に開いて(肩と肘が水平に)下ろすと、肩峰下インピンジメントという怪我のリスクが激増します。脇の角度は60度〜75度程度に絞るのが安全圏です。

2. 垂直に下ろし、斜め上に挙げる

バーは垂直に下ろすのではなく、胸の上部に乗せるように。挙げる時は、顎の方へ向かって押し出し、左右のグリップ距離を縮めるイメージを持つと、大胸筋上部の収縮をより強く感じられます。

プロのコツ:肩甲骨は「下げる」が主役

ベンチプレスでは「肩甲骨を寄せる」と教わりますが、インクラインでは寄せすぎに注意。むしろ、肩甲骨を「下制(お尻の方へ下げる)」させる意識を優先してください。肩が上がらなくなることで、大胸筋上部の繊維が最大までストレッチされ、強烈な刺激が入ります。

手幅の設定と前腕が垂直になる重要性

手幅が広すぎると肩の負担が増し、狭すぎると上腕三頭筋(腕)に負荷が逃げてしまいます。

理想の手幅を見つけるチェックポイント

1.ボトムでの前腕:バーが胸についたとき、前腕(肘から手首)が床に対して垂直になっているかを確認します。
2.三頭筋への逃げを防止:もし挙上中に腕の裏側ばかりが疲れる場合は、手幅が狭すぎる可能性があります。拳一つ分外側を握ってみてください。
3.手首の保護:バーは手の平の付け根(親指の付け根の膨らみ)に乗せ、手首が寝すぎないように保持するのがパワーを伝えるコツです。

正しい手幅と位置が決まれば、肩の痛みを感じることなく、狙った「大胸筋上部」だけに意識を集中できるようになります。

ダンベル・インクラインベンチプレスのメリットと使い分け

ジムのインクラインエリアで「バーベル派」と「ダンベル派」に分かれるのには理由があります。高重量を扱えるバーベルに対し、ダンベルは「筋肉の伸び縮み(可動域)」において圧倒的なアドバンテージを持っています。

可動域を広げてストレッチをかけるなら「ダンベル」一択

バーベルの場合、どうしても鉄柱が胸に当たるため、それ以上深く下ろすことは物理的に不可能です。しかし、ダンベルにはその制限がありません。

ダンベルを選ぶべき3つの理由

1. ストレッチ刺激の最大化

バーベルよりも深く下ろせるため、大胸筋上部の繊維を限界まで引き伸ばすことができます。筋肉は「引き伸ばされた状態で強い負荷がかかる」ときに最も強く筋肥大を促されます。

2. 左右差の強制リセット

バーベルは強い方の腕で補ってしまいがちですが、ダンベルは独立しているため誤魔化しが効きません。左右の胸の形を整えるには必須の種目です。

3.安全な限界突破

一人でトレーニングしていても、限界がきたら「外に投げ出す」ことで安全に潰れることができるため、心理的なハードルが下がります。

手首の角度を自由に変えられる安全性

バーベルは握る位置が固定されますが、ダンベルは手首の角度を細かく調整できます。これが「肩や手首に不安がある方」にとっての救済措置となります。

種目 主な目的 おすすめの人
バーベル 筋力向上・パワー 重量にこだわりたい方
ダンベル 筋肥大・形を作る 胸板の厚みを追求する方

プロの視点:手首はハの字が正解

肩に痛みを感じる方は、手の平を完全に向かい合わせにするか、「ハの字」にして下ろしてみてください。こうすることで肩関節のスペースが広がり、インピンジメント(衝突)を防ぎつつ、大胸筋上部にピンポイントで刺激を乗せることができます。

インクラインベンチプレスの平均重量|ベンチプレスからの換算目安

「ベンチプレスなら70kg挙がるのに、インクラインだと50kgが限界…」と落ち込む必要はありません。

インクラインは、大胸筋の中でも面積の小さい上部をメインに使うため、動員される筋肉の総量がフラットベンチよりも少なくなります。重量が落ちるのは生理学的に当然のことなのです。

フラットベンチプレスの70%〜80%が適正重量

怪我を防ぎ、かつ上部に的確な刺激を与えるための目安として、通常のベンチプレスのMAX重量から算出する方法が最も安全です。

フラットベンチのMAX インクラインの目標
60kg 42kg 〜 48kg
80kg 56kg 〜 64kg
100kg 70kg 〜 80kg
「エゴ・リフティング」が成長を止める

1. 重量が落ちることを悲観しない

重量設定が低くなるのは「大胸筋上部にピンポイントで効いている証拠」です。効かせるための適正化とポジティブに捉えましょう。

2. 腰を反らせる代償動作を阻止

無理な高重量を持つと、身体は無意識に腰を浮かせて「フラットに近い角度」を作ろうとします。これでは上部を鍛える意味がなくなるだけでなく、不自然な体勢で腰椎を痛めるリスクが跳ね上がります。

プロのアドバイス:8〜12回が「盛れる」ボリューム

大胸筋上部はストレッチ刺激に反応しやすい部位です。1〜3回しか挙がらないような超高重量よりも、8〜12回を完璧なコントロールで下ろせる重量を選び、筋肉がしっかり引き伸ばされる感覚(ネガティブ動作)を重視してください。それが「厚い胸板」を作る最短ルートです。

肩が痛い時に確認すべきインクラインベンチプレスの注意点と怪我対策

インクラインベンチプレスで肩の痛みを感じる場合、それは筋肉の疲労ではなく、関節が悲鳴を上げている「危険信号」かもしれません。

痛みがあるまま無理に重量を追うと、腱板損傷(けんばんそんしょう)などの長期離脱に繋がるリスクがあります。まずは自分のフォームに「エゴ(見栄)」が混ざっていないか、客観的にチェックしましょう。

お尻が浮いてしまう「過度なブリッジ」はインクラインでは厳禁

高重量を挙げようとして、腰を極端に反らせてお尻を浮かせていませんか? 実はこれが、肩を壊す最大の原因の一つです。

過度なブリッジが招く2つの末路

1.角度の消失:お尻を浮かせると、身体の角度がフラットに近づきます。これでは上部を鍛える意味がなくなるだけでなく、不自然な姿勢で肩関節に「ねじれ」の負荷がかかります。

2.腰椎へのダメージ:インクラインの斜角がある状態で腰を反らせると、一点に強烈な圧縮力が加わります。上部を盛りたいはずが、「腰痛で私生活に支障が出る」という本末転倒な結果を招きかねません。

肩の負担を逃がすための3つの処方箋

痛みを感じたら、以下のステップでフォームを即座に修正してください。

1.お尻をベンチに密着させる:足の裏で地面をしっかり踏ん張り、腰の反りを適度(手の平一枚分)に抑え、お尻を絶対に浮かさないように固定します。
2.脇を少しだけ閉じる:バーベルを下ろす際、脇を広げすぎず、少し肘を体側に寄せることで、肩関節内のスペースが確保され、痛みが軽減しやすくなります。
3.重量を20%落とす:痛みが出る重量は、今のあなたの「関節の許容範囲」を超えています。一度重量を落とし、完璧なコントロールを取り戻しましょう。

医学的アドバイス:肩が「すくむ」原因は首の筋肉かも?

インクラインで肩を痛める方の多くは、無意識に肩が耳に近づくように「すくんで」しまっています。これは、肩甲骨を吊り上げる肩甲挙筋(けんこうきょきん)がガチガチに固まっているサイン。この筋肉が邪魔をすると、いくら胸を張ろうとしても肩甲骨が正しい位置に収まらず、肩関節を直接痛めてしまいます。

まとめ:インクラインベンチプレスを取り入れて『立体的』な胸板を作ろう

Tシャツ一枚でも様になる厚い胸板を作るためには、大胸筋上部のトレーニングは避けて通れません。

フラットなベンチプレスだけに固執せず、「角度」と「肩甲骨のコントロール」を意識したインクラインを取り入れることで、あなたの胸板はより立体的で、迫力のあるシルエットへと進化します。

メニューの順番は?ベンチプレスの最初か最後か

トレーニングの組み立て方は、あなたの「優先順位」によって決まります。

目的別のプログラム配置

1. 上部を最優先で発達させたい場合:1種目目

最もエネルギーが残っている最初にインクラインを行いましょう。高重量かつ質の高いフォームで追い込めるため、上部の成長スピードが劇的に上がります。

2. 胸全体のボリュームを稼ぎたい場合:2種目目

フラットベンチで全体の重量を稼いだ後、2種目目としてインクラインを行います。すでに疲労があるため重量は落ちますが、ダンベルを使ってストレッチ重視で追い込むのが非常に効果的です。

3.時短・パンプ狙い

忙しい時は角度をつけた「ハイインクライン」で、肩と胸を同時に叩く戦略もアリ。その日のスケジュールに合わせて賢く選択しましょう。

どれだけハードに追い込んでも、肩を痛めてしまえば全てがストップしてしまいます。もし動作中に「ピキッ」とした痛みや、違和感を感じたら、それは筋肉ではなく関節の叫びかもしれません。

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この記事の監修者

横田就馬

横田 就馬 Shuma Yokota

国家資格:柔道整復師
ADVANCE世田谷鍼灸整骨院

日本代表アスリートや実業団選手、整形外科医と連携した施術経験を持つ、治療と運動の両面に精通したスペシャリスト。

病院勤務時には、トップアスリートの現場に出向き、運動指導とカラダの使い方を直接指導。整形外科での臨床経験とスポーツ現場の知識を融合させたアプローチを強みとしています。

「治療と運動が一体となった店舗をつくりたい」との想いから、整骨院併設型のパーソナルジム「ADVANCE世田谷鍼灸整骨院」を三軒茶屋に開設。

痛みの根本原因を見極める丁寧なカウンセリングと、国家資格者による安心・安全なトレーニング指導が好評を博し、現在は初心者からプロアスリートまで幅広く対応。地域密着型で“無理なく続けられる”本格サポートを提供しています。

オリンピック選手のサポート実績

実績
日本代表選手サポート

・柔道:斉藤 立 選手
(パリ五輪日本代表)

・水球:鈴木 透生 選手
(東京・パリ五輪日本代表)

・スイミング:小俣 夏乃 選手
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